
抜髄って何?歯の神…
こんにちは。浜松市中央区の歯医者「高倉歯科医院」の歯科医師の高倉です。
歯医者さんの治療で歯の神経を取りますねとか、歯の神経が無いですね。って聞いた事ありませんか?
今回は歯の神経の治療(抜髄)がなぜ必要なのかと、どのような治療なのかを簡単に説明しようと思います(*^^*)
まず、歯の神経の治療が必要になる原因は主には大きくなった虫歯が原因です。(稀に歯が折れたことによって必要なこともあります。)
虫歯は深さによってC0~C4と分類されています。
C0…初期むし歯とも呼ばれます。歯の表面が白くにごって見える状態です。まだ元の健康な歯に戻る可能性がありますが、放っておくむし歯が進行してしまいます。
C1…歯の表面をおおっているエナメル質が脱灰している状態です。
痛みはあまり感じませんが、歯の表面が白くにごっていたり、茶色などに変色してザラつく事もあります。
C2…象牙質の層にまで進んで穴があいている中等度のむし歯です。
冷たいものを食べたり飲んだりすると歯がしみます。
C3…むし歯が大きな穴になって象牙質の大部分に及び、歯の神経まで達したむし歯です。炎症を起こしはげしい痛みをともないます。
C4…歯がくずれて根っこだけが残ってしまった状態です。このままにしておくと歯髄が腐敗してしまい、さらに歯の奥へと進んでいきます。

ただし、臨床ではむし歯は噛む場所に出来た場合には、食べ物や冷たい刺激が伝わりやすいのですが、C2やC3でも歯の横からむし歯になった際や、何かしらの詰め物が入ってる際には刺激が伝わらず大きくなっていることが多いです。
歯の神経の治療(歯内療法)が必要になってくるのはC3やC4です。むし歯の原因である細菌が歯の神経に感染してしまい、激しい痛みが生じたり、放置すると歯の根っこの先端に膿を作って骨を溶かしたり根っこの先端が溶けてしまうことがあるからです:( ;´꒳`;):
今回は代表的な治療である抜髄(歯の神経の除去)について簡単に説明しようと思います(*^^*)
抜髄の治療ステップは大きく分けると5つ程に分かれます。
①むし歯の除去…まずはむし歯を徹底的に取り除きます。むし歯を染める液などを使って取りきらないといけません。むし歯が残ったまま歯の神経の管に器具を入れると、細菌を根の中に押し込んでしまいます。
②抜髄…歯の神経を取り除く作業です。針金のような器具(ファイル)や専用の機械(ニッケルチタンロータリーファイルなど)を用いて、歯の根の管(根管)の拡大と形を整えていきます。
根管は複雑な形態をしており、中までしっかりキレイにするためと根の先端までしっかり洗浄するために根管の拡大と形を整える必要があります。

③根管洗浄…根管内の汚れを薬剤を使って洗い流します。根管治療の目標は根管内のすべての微生物や毒素を除去することと微生物が増殖するための有機質を取り除くことですが、根管の形態は真っ直ぐで単純なものはほとんどないため、清掃消毒するための根管洗浄が必須になります。
④根管貼薬…根管内にお薬を置いていきます。歯の神経や周りの組織の鎮静化。清掃した根管の状態を維持。根の先端を適切な治癒に導くために、根管の中に殺菌力の高いお薬を置いてから仮蓋をします。
⑤根管充填…綺麗にした根管内を人工的な材料を満たしていきます。目的としては細菌が増殖する箇所を無くし、細菌の埋葬、不活性化をすることや、根の上下からの漏洩を防ぐためです。
抜髄とは何か?を簡単ではありますが今回は説明してみました。
C3まで到達しているむし歯でも全ての症例で抜髄処置は要らないこともありますが、強い自発痛(何もしなくてもズキズキする)際や、噛んだ時に痛い際などに必要になってくる処置になります。
ただし、歯の神経を取る治療は必要があるので行なうことは多いですが、できれば神経を残す方がいいです。痛みに対する感受性が無くなることは歯に強いダメージがあっても感じなくなってしまいます。
また、抜髄を行なっても将来的に再感染したとしても直ぐに気づくことができないので骨や歯の周りの組織にダメージがいってしまうことがあります。
序盤の方にお話をしましたが、歯と歯の間のむし歯で神経への刺激が少ないケースや、銀歯や樹脂が詰められていて二次的なむし歯により神経に感染を起こしていることもあります。
早期に気づくことによって歯の神経を守ることができることは多いので、銀歯や治療した箇所が多い際には定期的にレントゲン写真を撮影し、銀歯の下にむし歯が無いか?樹脂の下にむし歯は無いか?歯と歯の間の隠れむし歯はないか?を確認することをオススメします┏○ペコッ
そして!!特に大事なこととしては!根の治療を開始してから痛みが無くなったとしても放置するのは絶対にやめてください!!!!
根の治療を行なってから放置する人が必ずいます。当院でも昔に神経を取ってもらったが痛みが出てきたから見て欲しい。という患者さんや、神経の処置を開始してから放置してしまう患者さんが少なからずいます(´;ω;`)
歯の神経の治療を行なった後に最終的な被せ物や詰め物をしていればいいのですが、途中で放置してしまうと、仮蓋が劣化してしまい、中に細菌が侵入してしまいます。中に入った細菌はご自身では取り除けないので増殖し続けます………そして、骨の中までむし歯になってしまったり、歯の内部が溶けてしまい残せなくなってしまうことがあります(。゚っ´Д`゚)。
また、貼薬剤は強力なものを使うことが多いため、短期間では問題ないのですが、半年や1年経つと象牙質の脆弱化と強度低下を引き起こすという報告もあります……
仮の蓋は1ヶ月は問題無いものを使用している医院さんが多いですが、2ヶ月、3ヶ月とたつと劣化してしまい細菌が侵入してしまうことがあるので、放置だけはやめましょう。
今回は簡単に抜髄(歯の神経を取る治療)について説明しましたが、わかりにくいところはなかったですか?
今後は抜髄で使う器具や材料についてや、他の治療についても説明出来たらなと思います(*^^*)