こんにちは浜松市中央区の歯医者「高倉歯科医院」の歯科医師の高倉です。
2ヶ月に1度参加している5D-SPISの勉強会にて矯正治療について学んで来ました(*^^*)
講演してくれた先生は浜松市の蜆塚で開業されている神谷貴志先生でした。
神谷先生は矯正専門の先生なのですが、SPISの勉強会に参加しており、一般的な歯の診療についてもとても詳しい先生です。
講義の内容は矯正的圧下の可動範囲と限界を考慮した矯正治療についてでした。

矯正治療は歯に力をかけて歯を動かす治療ですが、歯の傾きを変えたり、引っ張ったりすることよりも圧倒的に難しいのが骨の中に押し込む圧下です。
傾けたり引っ張ったりする際には力の方向に障害がないので比較的動きやすいですが、圧下の場合は骨が邪魔してきます。
奥歯の圧下はとても動きずらく、平均で約2.3mm、最大で3.6mmしか動かないとのことです。
ただ、奥歯を圧下させることにより前歯は大きく変化します。

奥歯は顎関節という耳の少し前の位置に近いため、少しの圧下でも前歯は閉じます。
画像の場合奥歯を1.6mm程圧下させれば約5mm前歯が閉じます。3倍程の変化が見られます。
奥歯の圧下の動きの限界と変化をたくさんの症例写真から説明してもらえたのでとても面白かったです(*^^*)
この奥歯の圧下により前歯を閉じる矯正が必要な歯並びは主に開咬と呼ばれる咬み合わせです。

この開咬と言われる歯並びは歯科での臨床でデメリットをもたらすことがとても多いです( ; ; )
簡単にですが、開咬についてのデメリットや関連した8020運動についても書きたいと思います。
「開咬のリスクと8020運動」
前歯が噛み合ってないので奥歯への負担の増加、歯ぎしりの悪化、顎関節症の発現、むし歯や歯周病のリスクの増加などが考えられます。
噛み合わせが悪いと歯に不自然な力がかかってしまったり、顎の筋肉に負担がかかりやすく、無意識のうちに歯ぎしりをしてしまいます。
この歯ぎしりが顎関節や顎の周りの筋肉に強い負担をかけるので顎関節症を引き起こすと考えられています。
また歯のエナメル質という硬い組織が削れてしまったり、ヒビが入ることにより、歯の表面が弱くなりむし歯にもなりやすいです。
また、歯ぎしりによる強い力により歯の周りの組織(歯周組織)である骨や歯肉に負担がかかることにより歯周病も悪化させてしまいます(´;ω;`)
8020運動という80歳で20本の歯を残しましょうという健康運動があります。
現在の達成率は51.6%という状況ですが、「開咬」と「反対咬合(受け口)」の達成率は0%というのが現在の調査結果となっています……
8020(ハチマル・ニイマル)運動の目的は、
「80歳になっても自分の歯を20本以上保ち、しっかり噛んで健康な生活を送れるようにする」 ことです。
背景として、
自分の歯が20本あればほとんどの食事を不自由なく噛める
噛むことは栄養摂取だけでなく、脳の活性化や全身の健康維持にもつながる
高齢期の生活の質(QOL)を高め、寝たきりや認知症のリスクを下げる
といった点があり、1989年から厚生省(現:厚生労働省)と日本歯科医師会が推進してきました。
簡単にいうと、歯を守って長寿社会を元気に生き抜くための国民運動 です。
8020運動を達成するためにも定期的な歯周病の治療や矯正治療は必要だと考えています。
神谷先生の講演は開咬の治療が多かったですが、治療の方法も、前述した奥歯の圧下以外にも外科的な骨切りを用いた外科矯正についても説明や症例を見せてもらいえました。
予後に起こりうる筋肉や顎関節への影響も考慮した治療計画の話も聞けてとても勉強になりました。

私は矯正専門ではないので行えない治療も多いですが、矯正医との考え方のズレが修正できたり、自分で出来る矯正治療の幅を広げるためにも今後も機会があれば参加したいなと思いました(*^^*)
勉強会の話とは全く関係ない話になりますが、
先日、大学の後輩の長谷川 和彦先生が見学に来てくれました(*^^*)

長谷川先生は大学時代にも関わりがありましたが、私が以前勤めていた歯科医院に研修医として来てくれていたので親交が深いです。
長谷川先生も以前は関東で働いていたのですが、2024年に浜松に帰ってきたため何度かお会いして治療の話などをさせてもらっています(*´︶`)
今回、長谷川先生の知人の治療を依頼されたため見学と診療補助をしてもらいましたm(_ _)m
歯科の治療は医院や先生によって考え方や使う機材と材料が大きく異なります。
話だけでは細かい手技や機材の使い方がわかりずらいので少しでも先生の刺激になりプラスが生まれたら嬉しいです(;’ω’∩)
他の先生の考え方や治療で使う道具などの話は自分の刺激にもなりますし、新しい知識を学ぶきっかけになります。
私も浜松で新たに知り合った先生から話を聞いて成長していきたいです(*^^*)