こんにちは浜松市中央区の歯医者「高倉歯科医院」の歯科医師の高倉です。
今回は根管治療(抜髄や感染根管処置)で使う道具を治療の順序と写真付きで解説していきますね(*^^*)
治療の順序としては、
①う蝕(むし歯)除去
②ラバーダム防湿
③隔壁
④窩洞外形の形成と根管口明示
⑤穿通、作業長の決定
⑥根管拡大、形成
⑦根管洗浄
⑧根管充填
が大まかな流れとなってきます(:.;゚;Д;゚;.:)ハァハァ
それでは1から簡単に説明していきますね。
①むし歯除去…

1.2はタービンとタービン用のバーセットです。歯の表面はとても硬いので高速切削器具であるタービンでむし歯や歯を削ります。
3.4はコントラアングルピースとコントラ用のラウンドバーです。むし歯は柔らかいので大きいむし歯の際には低速にして慎重にむし歯を除去します。
5はエキスカベーターです。むし歯で柔らかくなった象牙質を手で取ります。
6はカリエスディテクターです。むし歯を取る時に最も大事な器具です。むし歯を赤く染色してくれます。むし歯は進行度によって色が変わります。黒いむし歯や茶色いむし歯は染色しなくても分かりますが、白に近いむし歯は拡大鏡を用いても確実に把握することが難しいです。最小限かつ、しっかりとむし歯を取るためにはむし歯に色を付けることが必須となります。
②ラバーダム防湿…


根管治療である抜髄、感染根管処置で重要な事は無菌的処置であることであり、ラバーダム防湿が必要となります。ラバーダム防湿のメリットとしては
・無菌的な術野の確保と手指や治療器具の唾液汚染の防止
・ファイルなどの治療器具の誤飲、誤嚥の予防
・口唇・舌・軟組織の排除により隔離された明瞭な術野の確保
・根管洗浄剤や貼薬剤の漏洩防止
・呼気からの隔離によるミラーの曇り防止と操作性の向上
などがあります(*^^*)特に下の歯の治療の際には舌があるので唾液による感染リスクが高いです。
ただし、歯が短いことや、鼻呼吸ができない際などどーしてもラバーダム防湿ができないこともあります(´;ω;`)
その時に用いるのがこちらzooです↓

こちらの器具は簡易的な開口器が付いており、噛んで貰った後に処置する歯の周りにチューブを設置します。
チューブには細かい穴が空いていてバキュームと繋げることによってチューブ周辺の唾液等を吸ってくれます。これにより歯の周辺が乾燥し、だえきの汚染を防ぐことができます( ᐛ )スゴイ!
③隔壁…

根管治療は1回で終わるケースは少ないです。一度お薬を置いて終わることがあるのですが、必要な仮封(仮の蓋)の厚みを確保するために樹脂(コンポジットレジン)で壁を作ることがあります。ラバーダム防湿と前後することもありますが、隔壁のメリットもたくさんあります。
・確実なラバーダム防湿と仮封が可能
・効果的な根管洗浄が可能になる
・菲薄な歯を補強できる
・隣の歯と接触させることで隣の歯の移動防止
・隔壁の上から仮り歯を作ることが可能になる
などメリットがあるので必要な時には行なっています。
④窩洞外形の形成と根管口明示…
歯の神経の取り残しや、根管の入口の見落としを防ぐためと、器具が根管の中にスムーズに入るように穴の形を整えます。この際にマイクロスコープを用いることにより、根管の見逃しのリスクを減らすことができます。



その後根管の入口を見やすくします。(根管口明示)

上の絵の青線のように曲がった入口の場合は無理に器具を入れてしまうと根管の途中でぶつかってしまい、本来の根管と違う方向に穴を開けてしまったり、根っこの先端に器具が届かないリスクが生じます。
そのため赤線の方向で器具が入るように必要に応じて削って形を整えていきます。
⑤穿通と作業長の決定…
根管口明示にて器具が根管の中に入りやすくした後に根っこの先端までの長さを正確に測るため穿通(根っこの先端まで器具を通す)を行います。その際に電気的根管長測定器という器具を使い長さを測ります。この際にできるだけ細いファイルを用いることでオリジナルの根管を捉えることができます。

⑥根管拡大、形成…
現在、微生物や毒素、微生物が増殖するために必要な有機質を取り除くのに最も効果的なのが根管拡大です。
病因となる根管内の細菌やデブリスを取り除く根管拡大と、その状態を維持するために必要な根管形成を行います。
臨床ではファイルと言われる金属の針金のような器具を主に用います。また、ニッケルチタンロータリーファイルという、機械を使って行います。

⑦根管洗浄…
根管拡大の際にも根管が詰まるのを防止するために頻繁に根管内を薬剤で洗浄を行いますが、機械的に拡大が出来ない部分を清掃と消毒するために行います。

こちらのいいんでも主にはNaOCLを用いて洗浄を行ない、補助的にEDTAを使用しています。
さらに洗浄力を高めるために超音波の器具を用いて洗浄剤を攪拌したり、温度を高めて殺菌力を上げるようにしています(*^^*)
⑧根管充填…長くなりましたが、最後の工程です。根管充填とは、キレイにした根管内を人工的な材料で満たすことです。
目的としては、・歯の上からの細菌の漏洩を防ぐこと。・細菌の増殖する場所を無くすことにより、細菌の埋葬と不活性化を図る。・根尖部(根っこの先端)からの細菌の漏洩を防ぐことです。
基本的にはガッタパーチャポイントというゴム製の材料と、シーラーと言われる接着剤で充填していきます。
充填の方法は様々ありますが、根っこの形態によって使い分けます。

上のシーラーは強アルカリ性で殺菌力があるのと、硬化時に膨張するため緊密に封鎖ができます。複雑な根管や根管が繋がっているような症例によく用います。
かなり長くなりましたが、省略して大まかに説明をしました( ̄▽ ̄;)
治療のことが詳しく知りたい方や、どのような治療を行っているか不安だなって方に見てもらえると嬉しいです(*^^*)
また、今後も治療の簡単な説明等を行なっていきますね!
詳しく知りたい治療などがありましたら、来院された際にでも聞いてくださいね!