PMTCという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
PMTCとは、歯科医師・歯科衛生士(Professiona)による機械を使った(Mechanical)歯(Tooth)の清掃(Cleaning)のこと。簡単に言ってしまえば、歯医者が行う歯の本格的な掃除です。
自分で行う歯磨きやデンタルフロスでは、どうしても落としきれない汚れでも、歯科医院で清掃してもらえば落とすことができますし、虫歯予防のために高濃度フッ素を塗ってもらうこともできます。
虫歯予防の先進国であるスウェーデンでは、PMTCを定期的に受けると虫歯になる確率が1/70にまで下がるという研究結果もあります。歯科医院での専門的な歯の清掃は、虫歯予防に劇的な効果があるのです。
歯磨きだけでは虫歯・歯周病は予防が難しい
「食後には必ず歯を磨いているのに、どうして虫歯や歯周病になってしまうのだろう」と不思議に思っている人も多いでしょう。
しかし、歯磨きだけでは虫歯や歯周病を完全に予防することはできません。日本では、歯磨きさえしっかり行えば虫歯や歯周病は予防できる、といった考えが根付いていますが、それは誤りです。
もちろん、毎日、歯ブラシやデンタルフロスなどを使って歯を磨くのはとても大切な習慣です。歯ブラシや歯磨き粉のCMでも、盛んに歯磨きの大切さが強調されていますが、それだけでは不十分なのです。
歯垢の除去
PTMCの最大のメリットは歯垢を完全に落とせることです。
歯垢は、歯の表目に付着した細菌の塊です。歯垢はぬるぬるとした粘着性のある物質をつくって歯に付着するのですが、歯の隙間や奥歯など、歯ブラシの届かない場所の歯垢までは、簡単に落とすことができません。
ですから、PMTCで使う歯医者専用の器具で、落とすのが難しい歯垢までが取り除くのです。
歯の表面に付着した微生物がつくる菌の膜であるバイオフィルムを落とすと口臭も抑えられ、歯の表面のぬるぬるもなくなるので、口の中が爽快になります。
PMTCのメリットは虫歯予防以外にも
歯を美しくする
PMTCを受けると歯の歯垢だけでなく、歯に沈着した色素も落としてくれるので、歯が白く美しくなります。日ごろからコーヒーやお茶をよく飲み、色素が沈着している人、喫煙で歯が汚れている人は効果をかなり実感できるでしょう。
矯正器具や入れ歯を装着していてもキレイになる
歯科矯正の器具を装着していて、装置周辺を歯ブラシできれいに磨けない場合や、入れ歯の隙間など汚れが溜まりやすい個所もPMTCで掃除をしてもらえます。
口臭予防
口臭は歯にこびり着いた歯垢からも発生するので、PMTCを受けることによって口臭の原因菌を取り除き、臭いを抑えることができます。
PMTCの手順
実際のPMTCは次のように進められ、時間は1時間ほどかかります。
最初に歯や歯茎の状態をしっかりと検査し、その後、汚れの成分を分かりやすくするため、汚れにだけ反応する染料を歯につけます。
歯の表面にこびりついた歯石や歯垢を一分間に1万回転する電動歯ブラシのような機械で取り除いていきます。
歯石や歯垢が除去された歯は、細菌が発生させるヌルヌルとした膜がはがれ、表面がツルツルになります。
表面がきれいになったら、次は歯と歯の間を歯間ブラシやデンタルフロスで掃除していきます。
特に大人の場合は、歯と歯の間に虫歯ができたり、歯周病菌が繁殖したりすることが多いので、入念に掃除を行います。
フッ素を配合したジェルを使って歯の表面と隙間を一本一本、丁寧に磨いていきます。
最後に、虫歯などを予防するために歯をフッ素加工します。濃度の濃いフッ素を塗ることが多いようです。
毎日の歯磨きでは低濃度のフッ素を使い、歯科医院のPMTCで高濃度のフッ素を塗ってもらうことで、歯は虫歯菌に対する抵抗力が強くなります。
虫歯になりかけている部分はフッ素を塗るだけで進行が止まることもあります。
PMTCの頻度
PMTCを受ける頻度は、個人差があり、内容も歯科医院によって違うので一概には言えませんが、だいたい半年に一回受けるといいでしょう。詳しくは歯科医と相談してみてください。
PMTCは保険診療外
PMTCは基本的に健康保険が適用されません。そのため5,000円~2万円程度の費用がかかります。
歯石の除去のみであれば、保険が適用されます。ただし、回数に制限があります。症状によって異なりますので、歯科医に相談してください。
当院での費用は5,500円程度(税込)です。